宮本武蔵の五輪書を最近また読返しているのですが、「地の巻」にある兵法に関する九原則には、現代を生き抜く術が盛り込まれていてとても勉強になります。 第一によこしまになき事をおもふ所 第二に道の鍛錬する所 第三に諸芸にさはる所 第四に諸職の道を知事 第五に物毎の損得をわきまゆる事 第六に諸事目利を仕覚る事 第七に目に見えぬをさとつてしる事 第八にわづかな事にも気を付る事 第九に役にたたぬ事をせざる事 「現代訳」 第一に、邪心をもたぬこと 第二に、道は、観念ではなく実践によって鍛えること 第三に、一芸でなく、広く多芸にふれること 第四に、おのれの職能だけではなく、広く多くの職能の道を知ること 第五に、合理的に物事の利害と損得を知ること 第六に、あらゆることについて直感的判断力を養うこと 第七に、現像面にあらわれない本質を感知すること 第八に、わずかな現象も注意をおこたらぬこと 第九に、役に立たない無駄なことはしないこと 昔は個人的な剣術も、集団的な戦闘法も同じように兵法といっていたようで、 武蔵がいうところの「兵法」とは個人の剣術を指しているようです。 この九原則がすべてではありませんが、武蔵の体験に基づくこの原則が 現代の人たちの心に響くという事は、何年経とうと物事の本質はあまり 変わらないということなんでしょうね。